「握力を鍛えるためにグリッパーを沢山買うのは気が進まない。」
「1つだけグリッパーを買うならどれがいいか?」
私はそんな質問をされた場合、以前ならイヴァンコのスーパーグリッパーがお勧めです
と言っていましたが、最近だと無段階で強度調節可能なグリッパーもあります。
勿論、スーパーグリッパーがお勧めということは変わりませんがスーパーグリッパーでも物凄く細かい強度調節が出来るわけではないです。
スーパーグリッパーよりも更に細かく強度調整しながらトレーニングしたい場合は以下のU字型のグリッパーがお勧めです。
現在発売されているU字グリッパーのタイプは2種類で80㎏から180㎏に調節できるモデル(80-180kg型)と50㎏から130㎏に調節できるモデル(50-130kg型)です。
このグリッパーは御覧の通りU字に曲がった鉄の棒という非常にシンプルな構造をしています。
以下、U字グリッパーのメリットを紹介していきます。
メリット1:無段階で強度を設定出来る。
何と言っても最大のメリットは無段階強度調節が出来ることです。
強度の調整はハンドル部分を六角レンチで緩めてスライドさせることでテコの原理の影響を増減させることで調整します。
棒が曲がってる側にハンドルを寄せれば寄せるほど閉じるための力が必要になるということです。このハンドル部分をスライドさせるという特性上、無段階で強度を調整出来るということです。
具体的な調整方法としては「ノギス」や「物差し」があると調整しやすいです。
下の画像のようにハンドルから突き出した棒の端の長さを測って記録していくのが良いです。
この突き出した棒の端が0mmの時が最低強度の状態となります。
参考までに私が所持している個体での0㎜の時のレーティング値は
50-130kgの50kg設定:94lb(だいたいCOC 1.5とCOC 2の間)
80-180kgの80kg設定:137lb(だいたいCOC 2.5とCOC 3の間)
となっています。
メリット2:上級者になっても使える
80-180kgのモデルは最低強度設定(80kg)でもCOC 2.5を超える強度を持つため、初心者が買うと全く扱えないということが起こってしまいます。
すでにCOC 2.5を閉じれる人や、COC 2を閉じて、COC 2.5を攻略中の人は80-180㎏を買っても問題ないですが、
握力トレーニングをはじめたての人の場合は50-130kgを購入することをお勧めします。
(それでもNo1.5より硬いですが…)
もちろん50-130kgであっても調整次第ではCOC No3よりも硬く出来るので上級者になってからも使えます。
私の場合は80-180kgを右手用、50-130kgを左手用に使用しています。
ハンドルをスライドさせることで強度を調節できるのはいいのですが、六角レンチで緩めて、スライドさせる長さを測って、また締めるという作業は割と手間なので
右手と左手の実力が離れている人の場合は私のように二本使いもお勧めです。
ハンドルをスライドさせる手間が少しでも少ない方が快適なトレーニングに繋がります。
メリット3:幅が狭くて握りやすい
更にこのグリッパーの特徴としてハンドル幅が30mmと最初から狭い状態なので、他のグリッパーと違って片方の手でセットする必要がほとんど無く、手が小さい人でも扱いやすいです。(通常のグリッパーは70mm前後なので手が小さい人はセットした方がいいです)
ここからはデメリットです。
デメリット1:閉じた時の達成度が固定強度のグリッパーよりも薄い
一番大きなデメリットは「閉じた時の達成度が固定強度のグリッパーよりも薄い」が一番大きなデメリットではないかと個人的には思います。
例えば50-130kgのU字グリッパーをCOC No3と同じ強度に設定して、それを閉じたとしてもNo3を閉じた時ほどの喜びはおそらく感じられません。
やはりCOCであればNo2やNo3、そしてNo4等の固定強度のグリッパーを閉じることは一つの指標となるため、それを閉じる喜びは大きいと思います。これはGHP等の他のグリッパーでも言えることです。
デメリット2:初心者だとメニューを組みづらい
また、握力トレーニング初心者だとU字グリッパーを1つポンと渡されても、どのようなトレーニングメニューを組んだらいいのか全く分からない場合もあります。
同じ初心者でも他の筋トレ(ベンチプレスやスクワット等)をある程度やりこんでいる人の方が筋トレ自体をやったことない人よりU字グリッパーでのトレーニングメニューを上手く組めると思います。
握力トレーニング以外の筋トレも全くやったことない人がグリッパーを購入する場合は、グリッパーを閉じた時の達成度を重視してCOCのトレーナーやNo1等の固定強度のグリッパーを購入する方がいいかもしれません。
念のため、どのようなトレーニングメニューを組めば良いか分からない人のためにU字グリッパーを使用したメニューの組み方の例を以下に紹介しておきます。
① 先ず1回ギリギリ閉じれない強度設定と10回ギリギリ閉じれない(9回目までは閉じて10回目が少し開く)強度を探します。ここでいうギリギリ閉じれないとは、1㎜開くか開かないかくらいが理想です。
② 次に1回ギリギリを3セットと10回ギリギリを3セットでとりあえずメニューを組んでみます。
③ そのまま週に2~3日くらいを目安にしばらく続けてみて、1回で閉じれる強度と10回で閉じれる強度をそれぞれ上げていきます。閉じれたらどんどん強度を上げていきます。
④ その後なかなか記録が伸びなくなってきたら「1回ギリギリじゃなくて2回ギリギリの方がいいな」とか「10回ギリギリじゃなくて15回ギリギリにした方がシックリくるな」等の細かい調整を自分なりに行ってみて下さい。
ここで1回ギリギリを3セットやる理由は神経系強化のためで、10回ギリギリを3セットやる理由は握力で使う筋肉に対する筋肥大のためです。初心者の場合は10回ではなく15回とかの方が良いかもしれません。
3セットはとりあえずですので、トレーニング頻度によってセット数は増やしたり減らしたりして下さい。
トレーニングメニューについてまとめると、神経系強化と筋肥大目的を両方やるのが効果的です。
勿論これはU字グリッパー以外でトレーニングを行う場合も同様です。
デメリット3:仕事量が小さい
最後のデメリットとして「仕事量が小さい」ことについてです。
メリットでもあった幅が狭くて握りやすいとありましたが、それは同時にデメリットにもなります。
は?
てなりそうですが、同じ強度でもU字グリッパーの幅である3cmの場合と通常のグリッパーの幅である7cmは仕事量で言うと
幅が広い分7cmの方が仕事量が大きいです。
ここで言う仕事量とは負荷と距離の掛け算のことで、クローズ直前の強度が同じだとしても
そこにたどり着くまでの「道のりの険しさ」は7cmの方が険しくてトレーニングのボリュームを稼げるということです。
例えばスクワットの場合でもハーフスクワットよりフルスクワットの方がしんどくて効果的なことに似ています。(というかほぼ同じ)
そういう意味では短いセット数でトレーニングボリュームを稼ぎたい場合は通常のグリッパーやスーパーグリッパーが優れているとも言えます。
以上、U字グリッパーはメリットデメリット色々ありますが上手く扱えばトレーニングの幅を増やしてくれますので初心者にも上級者にもおすすめのグリッパーです。